まずはいきなり引用から。
人から恩恵を受けた時は、どんなに深くても報いようとしないのに、
恨みに対しては、どんなに浅くても必ず仕返しをする。
また、人の悪事を聞いた時は、それがはっきりしたことでなくても疑わないのに、
善い行いは、それがはっきりしているのに疑って信じようとしない。
このようなやりくちは、人の心の冷酷さの極みであり、薄情の甚だしいものである。
だからよくよくそのことを戒めるようにしなさい。
これ読まれてどう思いますか?
僕は、「まるで今のネットの荒れ様を指してるようだ」って思いました。
上記は四百年近く前に書かれた本「菜根譚」の一節です。
私利私欲に惑わされることなく、
心穏やかに正しく生きていくための考え方なんかが
断片的に並べてある書物。
- 作者: 中村璋八,石川力山
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1986/06/05
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
数年前、藤巻幸雄さんの講演を聞いた時、
「菜根譚なんてね、面白いっすよ、今読んでも。ホントに。」
と仰ってたのを聞いて買ってみました。
僕はこれをトイレに置いてて、気が向いた時にぱっと広げ、
気が向くだけ読む、って使い方をしてるんですが
時々、自分がおかれてる状況や考えてることとつながって
はっとすることが、ままあります。
で、今日は冒頭の文に出会ったというわけです。
すごいびっくりした。
まるで、今のツイッターやネットの状況を見通していたかのようだ。
特に、「悪事をした」って不確かな情報でも簡単に信じて叩くのに
「いい事をした」ってのは、何か裏があるんだろうとか
いやいやその人ほんとうはこんな嫌な人なんだよ騙されるな、ってなかなか信じない。
よく見かけますよね。
見かけるだけじゃなく、自分でもそういう傾向はなきにしもあらず。
でも。よく考えてみたら。
ネットの様子を予見していたはずがない。
四百年前から、人間ってのはそういうもんだってことなんだろう。
ネットでそれがはっきりわかるようになってしまっただけ。
なんだかね。
しょうがないんでしょうかね。