書評

クラウド洗濯機みたいじゃない、本物の改善を意図的に起こすヒント【書評】リバースイノベーション

2012年12月15日

こんな本を読みました。

なかなか面白かった。

本の概要

すでにある製品を新興国で展開しようとすると、
うまくいかないことが多い。
新興国が発展すれば、いずれ先進国と同じものに
ニーズが発生するだろう、という
安易だが捨て去り難い思い込みがそこにはある。

だが、新興国はただ単に遅れているのではない。
遅れているから買わないのではない。
要らないから買わないのだ。
五つのギャップ(*)に気づき、ローカルニーズに基づいた新しい製品を開発しないと、受け入れてはもらえない。
そしてそれには大きな転換、すなわちイノベーションは、
新興国市場に留まらず、先進国市場にも逆流入する。
新興国であったニーズは、先進国にもあるのだ。
例えば、従来品の8割の機能で半額以下の価格のもの。

こうやって起こる、逆流入するイノベーションを
リバースイノベーションと定義する。

てな話。

*5つのギャップ
本書のキモ中のキモ。これを理解すればあとは具体的に頑張るだけ。

リバースイノベーションの機会を考える上で出発点となるのが、
富裕国と途上国との間にある五つのニーズのギャップ、すなわち
性能、
インフラ、
持続可能性、
規制、
そして好みのギャップである。

応用を考える

そもそも必要がないのにイノベーションを起こすのはむつかしい。
今までそこそこ売れてる製品ならなおさら。
たとえそれがジリ貧の傾向にあったとしても、緩やかである限り、ほとんどの経営者はバージョンアップで現状打破しようとするだろう。
マイナスイオンテレビやら、はたまたスマホ便器やら、実際そんな例は枚挙にいとまがないことからも分かる。

本当はみんな、現状の延長線上に答えがないことなんてうすうす分かってるのに。

じゃあ、延長線上じゃない、ノンリニアな革命的改善を起こすにはどうしたらいいか。

それを強制的に起こす手法として、リバースイノベーションの考え方を用いるのはどうだろうか。

別に海外展開を考えてなかった成熟してしまった製品について、あえて途上国で展開を図る。
強制的にイノベーションという溶解炉に投げ込むってこと。

(製品をそのまま持って行くだけでは売れないから)
新興国という新たな枠を与えられることで創造性に火がつく。

だって、イノベーションって困らないと起きないもんね。
成熟してしまった製品なんて、困る点ないもん。

もちろん、新興国展開には多大な投資がいるだろうから試しに、なんてわけにはいかないけど、クラウド連携に開発資金かけるより、よほど実りが大きいんじゃないだろうか。

いかがでしょう。

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