書評

イヤな職場をポジティブに変えられるヒント。【書評】会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ

2013年2月11日

こんな本を読みました。なかなか面白かった。

本の概要

社会人駆け出しの青年が見学者としてマグロ船にのり
社会人としての様々な迷い、悩みを漁師と話して
気づきを得たというお話。
様々なテーマが短いエピソードと共に綴られている。
●努力は報われるとは限らない
●コントロールできないものに心を砕かない
●叱る時は理由を明示する

などなど。

じゃあ何を得るか

正直、この手の本として目新しい話はほとんどない。
文章もライトで、短くテーマが区切られていることもあり
ほとんどブログを読んでいるような感覚。

ただマグロ船の漁師からそれらが語られる。
これがすごい説得力と共感を生み、身にしみて受け入れやすい話となっている。
読む人によっては、単によくあるビジネス本となり、また読む人にとっては、バイブルとなる、
そんな本。

僕が自分のために抽出したエッセンスはふたつ。

ひとつは、「他に選択肢がない」という覚悟。
一度漁に出たらひと月以上、同じメンバーでやっていくしかない。
だから自然と人間関係や仕事においてポジティブな考え方が身につく。
実は僕らサラリーマンだって、同じことなのに、同じようにはやれていない。
一年に何度も人の入れ替えがあるわけじゃない。
だけど、いがみ合ったり敬遠したり、嫌ったり陰口叩いたりしてる。
同じメンバーで数ヶ月やっていくしかない、という認識が足りないからじゃないか。
チーム皆でその認識を持てれば、自然とポジティブで協力的になっていくんだろう。
陰で文句言ったって仕方ないんだから、真正面から直してほしいところをきちんと伝えるしかない。
ただし、敬意を持って、人格否定はしない。明日も同じ船で暮らすんだから。

周りがイヤな人ばかりなら難しいけれど、イヤな人がひとりだけだったら、この本を参考になんとかなるんじゃないかな。

もうひとつは、自然体の自分を認めること。
大自然を前にしたら、所詮人間ができることなんてたかが知れてる。
そこをスタートラインとして、でも自分が他の皆より得意で貢献できることを、これまたフラットに見つめる。
驕りも自己否定もなく、自分に厳しくも甘くもなく。

そんなスタンスで仕事をして行きたい。
言ってみれば、自分で自分を苦しめない考え方。
この本で得るものはそれが全てとも言えるだろう。おすすめ。

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