独立数学研究者 森田真生 氏おすすめの本をやっと読み終えた。
でも、脳とは何か、心とは何か、みたいな話がクロスオーバー。
ただの科学本じゃなく、かと言って哲学本にしては現実の現象をもとに話が積み上げられていて。
なかなか変わってて面白い。
まあしかし、人工知能ってのは究極は人間の再現だから、
脳や心まで踏み込んでいくのは自然な流れではある。
副題が、脳と身体と世界の再統合。
読む前には何のことやら、だけど、読み進むうちに納得する。
そしてその点こそが、本書のキモ。
つまり、脳と言えば頭蓋骨の中にあるアレ。
心と言えば胸のあたりにあるアレ。
と思われてるけど、実は違うんじゃないの。
外部にも脳や心の一部の仕組みがあるんだよ、という話なのだ。
…まだ抽象的すぎるな。
分かりやすい例。
ジグソーパズルを組み立てていく時をイメージして欲しい。
あなたは適当につまみ上げたピースを、
この辺りにハマるんじゃないかなあ、というところへ持っていく。
なんとか合わないかと、ピースをくるくる回してみる。
あてては回し、またあてては回し。
試行錯誤を繰り返してパズルはできてゆく。
もしこれが、「ピース回して考えるの禁止」と言われたら?
脳みそめちゃ疲れそう、って容易に想像できる。
頭ん中で回してみて、はめてみて。
もうイヤ!実際あててみないとわかんないってこれ!てなるだろう。
つまり。
ピースを手で回してあててみるという行為は
脳の計算を大幅に軽減してる。
それって言い方を変えれば、脳の代わりに手で考えてるってことだろ?
考えたり計算したりってのは脳みそだけでやるもんじゃないんだよ!
ってことが、本書の一番言いたい事であり、
かつ画期的な主張なのだ。
ロボットで言えば、どう動くべきかって全てコンピュータで計算するんじゃなく、
ロボットが目的に合う働きをするように
環境の側を整備することも併せて考えるってこと。
これは人工知能とかロボットとかを考える際には
画期的なパラダイムシフトだと思う。
普段は皆が普通にやってることだけど。
パズルのピースを回す、鍵をいつも同じ場所に置く、
ネジの締める方向が統一されてる、などなど。
人工知能をよりシンプルな仕組みで実現するために
環境もプログラムする。
確かに世の中はそうゆうふうにできてる。
なかなか面白い考え方だ。