何年前のことだったか。
あれは RadioHead の KID Aというアルバムを買って聞いた夜のこと。
重い重いロックを聴いて寝たせいで、変な夢を見た。
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ある外国の風景。白い土壁に赤い瓦屋根の街並みが広がる景色。
どの家も、太陽を浴びて綺麗に輝くなか、一軒だけ、暗くひっそりした家があった。
なんであの家だけ暗いのかな、なんて少し思ったけど、たいして気にも留めなかった。
やがて夜が来た。
全てが闇に包まれる中、一軒だけ赤々と輝く家があった。
昼間見た、あの目立たない家だった。
その家は、燃えていた。と言っても、火事だったわけじゃない。
燃えて焼け焦げていくわけじゃなく、電気の光でもなく、ただ自ら光を放つ。
まるで燃えているとしか言いようのない、自らの命を削るような、赤々としたひかりを。
僕はただそれを、遠くからずっと見ていた。
——
夢から覚めて、ふと気がついた。
そうだ。昼間に輝くということは、ただ、太陽の光を反射するということでしかない。
そうじゃなくて、あの家のように、光がないところで自らを削って光を放つ、
それが本当の意味で輝くってことなんじゃないか。
反射するんじゃない。自分を燃やして輝け。
あれ以来、自分の片隅にいつもある、ひとつのイメージ。