書評

毒のないアーモンドはどうやって生まれた?ジャレドダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」レビュー

この本、やっと読みました。まだ上巻だけだけど。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

 

 

すごい面白い。

こんなレビューでは網羅しきれないくらい、様々な「へぇ~知らなかった」がある。しかもその全てが、ひとつの軸をもとに組み立てられているため、わかりやすく、面白く、壮大なひとつの映画を見ているような感覚すらある。

 

その軸とは、

「ヨーロッパでは文明が進化したのに、

なぜオセアニア、アフリカなどの土地では進化しなかったのか」

というテーマ。

 

そんなん考えたこともなかった。そういうもんだと思ってた。ヨーロッパのほうが人が集まってたからじゃないの?くらいなもので。

 

違うんですね。

全て、ちゃんとした理由がある。

 

野生動物の分布からみるとこういう理由が。

植物の分布からみるとこういう理由が。

地形からみると…気候からみると…

 

全ての考察が、パズルのいちピースとなってパチパチとはまっていく。

 

張り巡らせた伏線がひとつに収束していく、伊坂幸太郎の初期作品を読んでいるかのような面白さ。しかもその伏線は本の中にあるのじゃなく、僕らの目の前に、リアルなこの世界にある。歴史や地理の知識すら、伏線になる。

 

いや、それらを深く知ってる必要ないですよ。僕なんか学生時代は社会嫌いだったので、たいした知識ないけど、それでも楽しめる。

 

イヌ、ネコ、牛、豚、鶏はなぜ身近な家畜になったのか?

なぜ他の動物は家畜になり得なかったのか?

エンドウ豆は、なぜあんなに大きいのか?

野生のアーモンドには毒がある(知らなかった!)のに、僕らが食べるやつはどうやって毒なしになったのか?バイオテクノロジーなんてなかった昔に。

 

言われてみれば、わからないね。

なんでかな?って話が次々明らかにされていく。

 

今までこういうジャンルの本は、一切興味なかったんだけど、読んでみたら面白かった。生物学、文化、歴史の本をあまり読んだことない人にこそ、おすすめしたい。

 

ノンフィクションなんだけど、学術的意義なんて気にしないで。

知識欲を刺激してくれるエンターテイメントとして面白いです。

 

いやー、いい本読んだ。

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