このニュース、びっくりしましたね。まさかこうなるとは。
■陰謀論で話をしたってなにも見えてこない
このニュースを受けて、「警視庁が抱き込まれた、権力に屈した」みたいな陰謀論が多く見られます。まあ、警察もののドラマとか見てるとよくそういうのあるしね。でも僕らには、本当に抱き込まれたのかどうかはわからない。わかりようがない。
そして、抱き込まれたという陰謀論で話をしたって、何も進まない。一部の人は楽しいのかもしれないけど。こういうとき僕は、「自分だったら、どういう場合、こんなことをするのか?」という視点でいつも考えます。
そして今回。
もし僕が警察だったら、どういう場合に「容疑無し」という結論を出すだろうか。
「確実に指示した、確実に認識していた」という証拠が出なかった時、だろうな。
■事実を基に僕らが問題にできることとは
いろいろなメディアを見ている限り、警視庁も証拠が出なかったから、容疑無しにしているようです。それ自体は、警視庁を責めることではない、と僕は思います。捜査資料を持っているわけでもなく、捜査の素人である僕らがそれをやいやい言っても説得力はない。
では、素人の僕らは何を議論したら、建設的になるのか。
僕は「証拠が出ないようにやっていた」ことだと思うのです。つまり、元監督も元コーチも、こういう事態になっても言い逃れできるように、日常的にリスクヘッジしながらやってる。例えば、
タックル直後、井上氏の「やりましたね」との発言に内田氏が「おお」と応じたとされる場面も、両氏が視線を合わせていない
こんなやばい会話するときは、そりゃ目線は合わせないでしょうよ。越後屋じゃないんだから。それに、仮にこの会話の録音が残っていたとしても、「指示通りにやったという意味じゃない」と言い逃れられるように、あいまいな言葉でやりとりしている。
選手は試合前日に井上氏から「『相手を1プレー目で潰せば(試合に)出してやる』と監督が言っている」などと伝えられ、「けがをさせろという意味だと認識した」と記者会見で説明したが、部員や関係者ら200人以上への聞き取りで、アメフトでの「潰せ」は一般的に「激しく当たれ」「思いっきりプレーしろ」という意味で、日大でも同様の共通認識があった
「相手を1プレー目で『激しく当たれ』ば、試合に出してやる」では、意味通じないでしょう。でも「潰す」という単語だけ取り上げたら、この通りの認識なので言い逃れできる。
そういう「自分たちは安全地帯にいて、選手にリスクを負わせる」ということを日常的にやってきた、ということですよ。指導者の立場にある人が。
ここをポイントにすれば、陰謀論なんかじゃなくて、事実に基づいた話になる。
明石市長の暴言の話だって同じです。もちろん暴言は、あかんレベルですけど、腹くくって仕事してる市長よりも「仕事を完遂していないのに録音してる」という、リスクヘッジしてる側が守られてるでしょ、結果的に。
証拠が手に入りようのない領域を想像で批判するんじゃなくて、僕らが得られる事実をベースに、批判して行きましょうよ。