書評

わが社もIoTでなにかやれ、と無茶ぶりを受けたサラリーマンに、助けとなる資料が現れた。

 

クライフターンで有名なサッカープレーヤー ヨハン・クライフの言葉。

「人ではなく、ボールを走らせろ。ボールは疲れない。」

 

本書はこれをもじってこう言います。
「人ではなく、電子を走らせろ。電子は疲れない。」
なんのこっちゃ。と思ったので読んでみました。

■電子を走らせるとは 

ぼくらサラリーマンだと「何言ってんだこの人は?」とか思っちゃうわけですが、経営者には刺さるらしいです、この言葉が。

まあ結局、人間じゃなくてコンピューターに働かせろ という意味なんですけどね。なんだよ、そんなん分かり切ってるだろ、と思った人。実は意外に、あなたもわかってないかもしれないですよ。

皆さんにも、心当たりがあるかもしれません。職場に、〇〇システムという新しい業務システムが導入された。でもそのシステムを皆に使ってもらうのには、めちゃくちゃ抵抗される。現状を変えることは、たとえ便利になるとしても、反発を受けるのです。

ほら、他人事じゃないでしょ。分かってても「電子に走らせる」のは結構難しいわけです。人間だもの。ってか、日本人だもの。旧態依然のやり方でも、個人の能力でカバーして何とかなっちゃうから、問題が表面化しない。

でも欧米では、「こんな面倒くさくて古いやり方、やってられるか!」ってなるので、もうガンガン変えていってしまうわけです。だから日本の生産性だけはいつまでたっても上がらない。日本のホワイトカラーの生産性、世界各国と比べてめちゃくちゃ低いって話、聞いたことありますよね?
このままじゃ、日本は後進国になっちゃいます。生産性の上がるシステムに合わせて、業務を変えていきましょうよ。

 

なんてね。

 

それは真実ですけど、この本は、そんなレベルの低い話をしたいわけじゃないようです。現状の効率化じゃだめだよ、という話が展開されます。

 ■結局どうしろと言っているのか

じゃあどうしたらいいか。

  • ロジカルシンキングじゃなく、デザイン思考を使って
  • IoTによって
  • 今までなかった価値を産み出す

ところを目指せ、ということです。

でも、「IoTを使う」ことを前提にしちゃうとおかしい話になります。よくある手段の目的化ですね。本当に、今までなかった価値を生み出すためには

顧客やユーザーの課題に向き合う

ということ。『ホームセンターにドリルを買いに来た人は、ドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのだ』というアレですね。

いずれも、別に目新しい話じゃない。でも、みんなできていない。

IoTやインダストリー4.0についてある程度知っている人にとっては、目からウロコみたいな話はありません。でも、いろいろと事例が詰まっているので、刺激を受けるために読むには良いかも。あと、『IoTによってどういう価値を生み出すべきか』というフレームワークは、社内で説明するのにとても使えそうです(本の中の、図表10)。「わが社もIoTでなんかやれ」ってむちゃぶり受けている皆さん、いませんか?この本を差し出してみるのが良さそうですよ。

 

この本をヒントに、IoTやデジタルトランスフォーメーションとどう向き合っていくか、考えたいと思いますが、その前に、デザイン思考の本を読んでみようと思います。これ↓良さそうなので、さっそく買っておきました。本読み終わったらレビュー書きますので、ぜひ次回も読んでみてください。

photo credit: Artur (RUS) Potosi *** via photopin (license)

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