本の化学反応って、聞いたことありますか。
いま、僕にそれが起こっています。ほんと偶然なんですけど、たまたま並行して読んでいる2冊の内容が、やたらと噛み合うのです。この2冊↓。
【本1】ほぼ日の経営について、糸井さんがインタビューに答える、深いけど軽い読み物。以下、この本のことを「すいません経営本」と表します。
【本2】かたや、デザイン思考を基にした問題解決手法について、順を追って丁寧に、詳しく解説してある本。以下、「デザイン思考本」と表します。
驚くほどリンクする、この2冊。
まず、「デザイン思考本」で、ベースとなる考え方と、その考え方が必要となる背景くらいまで読んでいたんですよ。んで、実践編に入って、なるほどな、そんな仕事の進め方ができたら良いなあ。なんて感じてた。書いてあったのは例えばこんな点。
- すべての情報を厳密に処理しようとしない
- 不明確な状態を恐れない
- ゲームのルールの前提を壊すことで新たなアイデアを生む
これこれ。こういう仕事がしたいんだよなあ。でも組織の中で「不明確な状態」に周りを巻き込むの、難しいんだよなあ。どうやったらいいんだろう。
そんな時「ちょっと疲れたので、さらっと読める本に浮気したいなあ」と、たまたま積読になっていた「すいません経営本」を開いて読み始めてみたんですよ。するとですね。目の前にあったのです!「こういうことがしたいなあ」を実践している企業が。例えばこんなことが書いてあるわけです。
- ほぼ日手帳を作るとき、他社の手帳を沢山集めてきていたので、全部捨てさせた
(今ないものを作ろうとしてるのだから、今あるものを参考にしてもしょうがない) - マーケティングリサーチをしない。自分たちが欲しいものを作る。
- 求人の内容は「いい人募集」。いい人を定義しない。
うわっ、と思いましたね。本当にやってるところが既にあるなんて。何年も前から。しかも理論に導かれて最短距離で来たのではない。考えて考えて、考え抜くことで試行錯誤しながら現在の「こんな会社で働きたいな」という状態にたどり着いている。それがちょうど、「デザイン思考」という理論とリンクして、ああ、だからうまく行ってるんだな、と腹に落ちる。「デザイン思考の経営って、本当にできるんだ」というリアリティが、急に感じられるわけです。
逆に、「すいません経営本」を読んで、「こんな会社で働いてみたいなあ。でも糸井さんだからこそこういう舵取りができるのではないかな。自分の会社ではこんな風にできないかもな」と考える。すると、具体的にどうしたらいいかを教えてくれる「デザイン思考本」がそこにある。
このペアは、すごいです。音楽でいう、マッシュアップに近いイメージ。それぞれ単体で楽しむよりも、混ぜながら読むとすごい相乗効果を感じられるのですから。
ぜひ、2冊を並行して読んでみることをお勧めします。
photo credit: truewonder Borozenetz via photopin (license)