わかってからじゃないと、わからないことがある。
これは、僕が好きなミュージシャンのひとり、シュガーフィールズの言葉。
彼が、リズム(グルーヴ)のトレーニングをする中での言葉だ。リズムとかグルーヴ、タメ、ノリ。言葉で表現するのはとても難しい。跳ねるようなリズム、とか、粘りのあるグルーヴ、とか。もちろん、16ビートのウラ拍、とかなんとか、定量的に表現する方法はあるのだが、それですべて表現できるようなら苦労はしない。
先生から、グルーヴについて言葉で説明されながら、ひたすら練習をする。ドラムの練習なのかベースなのかは忘れたけど、当然、なかなかつかめない。でもひたすら練習するうちに、「あれ?こういうことかな?」と少しわかってきて、やがて完全に理解し、つかむ。
そうなってから、先生が説明してくれてた言葉を思い返す。
すると、「あぁ、こういうことを言ってたんだな。確かにその通りだ。」と納得する。
つまり、「わかってからじゃないと、わからないことがある」というわけだ。もう10年くらい前にmixi(!)にさらっと書き込まれていた言葉だけど、いまだに忘れられない。
さて。この本。
『読みたいことを、書けばいい』
このタイトルで、この本の言いたいことは8割がた含まれている。
しかし同時に、本を全部読んでみないと、このタイトルに含まれている意味は分からない。まさに「わかってからじゃないと、わからないこと」なのだ。
これに似た感覚として、サッカー漫画「アオアシ」によく出てくる言葉がある。
『自分でつかんだ答えは、一生忘れない』
試合の中で、チームの中で、自分はどう動くべきか。言葉で教えてもらうことはたやすい。だけど、それでは本質を掴んでないから、応用ができない。言われたこと以上のことができない。だから、時間がかかっても、自分で体験して会得していくのだ。そんな意味で使われている。
『一を聞いて十を知る』のもかっこいいけれど、一から十まできちんと知る(体験する)のも、結構意味がある。きっと、一を聞いて十を知る ではつかめないものがある。
本でも何でも、要約がすぐできてしまう現代。だけど、他人の要約を読んでも、本一冊を読んだことにはならない。本一冊読んで、自分で要約するから、要約の意味がある。
この感覚は、ちょっと覚えておこう。
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