「お金」の次に来るブームは何だと思いますか?
こんな質問を書くと「何言ってんだ?」と思われるでしょうね。 お金って別に流行りじゃない。ブームじゃない。ずっとこの世の中をまわしてきた仕組みであって、生きていくためにあって当然のもの。水道とか電気とか、そういうものに近い感覚。
でもね、本当にそうなの?貨幣経済って、実はただ数千年続いてるブームじゃないの?
この本を読むと、そう思えてきます。
お金がすべてじゃない。お金で解決できないものがある。
そんな言葉は、よく聞きます。それは、「お金の価値が中心」である前提での、それに対する反論として、ですよね。ところがいま本当に、お金中心じゃない世の中の可能性が出てきている。つまり、貨幣経済以外の世界。
お金のない世界なんてありえないでしょうか?でも実はお金って、ただの仕組み。価値を保存し、交換するためだけの仕組み。物々交換より便利だし。
この本は、そのタイトルから「新しいお金」の話のような気がするけれど、実は全然違う。価値のカタチが大きく変わろうとしている、 という話なのです。真のタイトルは「価値2.0」なんですね。あ、でも、いきなりそんな話をされても、やっぱりよくわからないでしょ。よくわかるためには、やっぱりこの本を読んでもらうしかありませんが、この本の流れとしては、
- お金(貨幣経済)に変わる仕組みとして、どのような仕組みが出てきているのか
- そもそも貨幣経済という仕組みも、自然界の仕組みの真似なのではないか
- であれば、自然界の仕組みを真似さえすれば、貨幣経済ではない仕組みの上で、人々が「自分ができること」を交換し、生きていくことはできるだろう
そんな感じです。価値のカタチが変わるという意味では、先日書いたデジタルトランスフォーメーションの話にも通じます。
そう。「評価経済」なんて言葉はもう十年前からあるけれど、テクノロジーが進んで、そういう概念が現実味を帯びてきた、ということなんです。
面白いのは、テクノロジーの進化により価値のカタチが変わるだけではなく「何に価値があるか」まで変わり始めてるって話。例えば、不動産。大きな家を、都市部に持ってるなんて、お金持ちの象徴みたいなもんですね。しかし、今やどこにいても仕事ができ、何でも買える時代。さらに、VRを使えば、誰でもバカ広いリビングでバカでかいテレビを見ることだって疑似体験できます。これ、「都市部の」「大きな家」の価値がテクノロジーによって下がってる、と考えられないでしょうか。
こういう話を妻にしたら「しょせん『疑似』体験でしょうが」と言われました。一理ある。一理あるけど、それは僕らが古い人間だから、です。今の人たちは、リアルにバーチャルリアリティを持ち込むことに抵抗がありません。ポケモンGoをやってる子は街を歩いていれば、「あー、ここポケモンいそう」って言うし、大人だって、アニメの聖地巡礼したりしますよね。VRディスプレイで広い部屋に住んでる気分を味わえるなら、実際には(家賃の安い)狭い部屋でいいじゃん、という人だっているわけです。何がリアルかは、自分で決めるってことなんですよ。これはすごいことになってきたぞ。
ということは。
お金自体も例外ではありません。お金から価値の乖離が起き始めている、ということになります。
もともとお金だって、誰かが作った決めごとに過ぎません。金だって銀だって、無人島行ったら何の役にも立たない。それが価値あることにしましょうね、で皆が同意したんだから、これもなかなかすごいことです。当時の人たち、よく受け入れたな…。
そして今。何千年前にお金ができた時と同じように、僕らは価値の大きな転換に直面してるのです。あなたはついて行けますか?ついて行きましょうよ。たぶんめちゃくちゃ面白いことが起きますよ。だってゲームのルールが大きく変わるんですから。
大富豪というトランプゲームがありますね。あれに「革命」というローカルルールがあります。最も弱いカード「3」の4ペアを出すと、全てカードの強さが逆転するってやつ。あれがリアルで起きるかも、ということです。最もお金を持ってない奴が強くなるかもしれないし、他の何かを持ってる奴が強くなるかもしれない。とにかく、ゲームチェンジが起きようとしている。こりゃ面白いことになってきた。
さて長々とお付き合いありがとうございました。興奮気味にこんな思いつきがブワーッと湧いてくるくらい、この本は面白かったです。2年前の本ですけど、2年前に読んでたら、僕はここまで内容を飲み込めてなかっただろうな。今こそ、おすすめです。
photo credit: Alex J Donohue Coin pusher, Deal via photopin (license)