リアル世界って、何でしょうか?
と聞いてあなたが思い浮かべた「リアル」は、たぶん、古い。
この本読むと、それを痛烈に感じます。
OMO(Online Merges with Offline)って、聞いたことありますか。この本はOMOについて説明した本なのですが、それだけでまとめてしまうにはあまりにもったいない、世の中のサービスについて、見方がガラッと変わっていく本です。今年はホント、良書に巡り合いまくりなのですが、その中でも一冊だけ本を勧めるとしたら、ビジネスマンには迷わずこれ。リアル世界かネット世界か。そんな分類はもう意味がないんですよ。これはリアル、これはネットと分けること自体がもう古い。ネットはリアルの一部になっているし、リアルはネットの一部になっている。
・・・なんてふわっとしたこと言っても、やっぱりよくわからないですけど、映画に例えてみましょうか。「CGを使った映画と、使ってない映画は別物として扱うべきだ。CG使った映画は映画と呼ぶべきではない。」って言う人がいたとしましょう。この意見、あなたはどう思いますか?
僕なら「いや、気持ちはわかるけど、表現手段だけの話だし、どっちも映画で良いのでは?」って思います。ルパン三世が3DフルCGになるのはイヤだけどさ。そう。CG(バーチャル)を使ってるかどうかなんてただの手段ですよね。そうやって、映画なら区別せずに考えられるのに、ネットとリアルでのビジネス、となると…世界がふたつあって、それぞれでどう活動するか、という考え方をしていたのが今まで。それをリアルとかネットとか境界線を引かずに考えてみると、すごいサービスが出来上がる。「アフターデジタル」を読むと具体例がたくさん載っています。「そんなやりかたがあったか!」と目からうろこがボロボロ落ちるような例、しかも中国の例ばっかりです。日本人もびっくりするくらい、細かいところに行き届いたサービス。ネットのサービスとリアルのサービスを、切れ目なくつなげることですごいサービスがどんどん生まれている。中国って、日本のはるか先に行ってしまってますよ。やばいですよこれは。
例えば中国のスーパーマーケット。
スマホのアプリでちょちょっと注文したら、30分後に自宅に届く。それはそれで便利だけど、実際店舗に行ってみると、いけすには魚が泳いでいるし、新鮮な野菜が並んでいるし、すごく楽しい。店舗に行っても決済は当然スマホで。あなたはネット会員だから…とかリアルの会員だから…とかじゃなく、リアルの楽しさと、ネットの便利さを両方提供してくれる。
これだけじゃあんまり、すごさが伝わらないと思いますが・・・。
例えば、月曜の夜にスーパーのアプリを開いたとしましょう。すると、(昨日あまり食料品を買わなかったあなたが、平日夜の10時過ぎに、駅から帰りながらこのスーパーのアプリを開いているってことは.…)「簡単に調理できるこういうものをお探しなのでは?ちょうどクーポンありますよ。いかが?」「いま注文したら、家帰ってご飯を炊いてる間に届けますよ」とか言ってくるわけです。イメージだけど。
結局リアルでもネットでも僕らの行動はデータ化されていて、最適なサービスが届くようになっている。何年か前、One To Oneマーケティングなんて言葉がありました。ひとりひとりに最適なものをお勧めするっていう、あれね。でもあれ実は、「あなたに最適」だったわけじゃないんですよね。「あなたに似た人のグループに最適」であったわけです。「これを買った人はこれも買っています」ってやつ。
ところが今や、本当の意味で「今、あなたに」最適を提供できてしまう。
ほとんどの日本企業のように、ネット戦略はこう、リアル戦略はこう、とか分けて考えてたら、たどり着けない境地。ネットもリアルも含めて、「いつ、どこで、どのように」ユーザーに接触したら最も効果的か。それをトータルで実現する勝負になっているわけです。
とんでもない時代になってきましたね。「アフターデジタル」を読むとそれが、よくわかります。私がここで強調したようなことは、中身のほんの一部です。今の世の中を見通せてる天才ならともかく、凡人だったらこれ読まないとやばいです。読まないと、控えめに言って2年は時代認識が遅れます。そのくらいおすすめです。
■おまけ
あまりに面白くて刺激的な本だったので、勢いでぶわっと書いてしまいました。ここまで読んで、何言ってるか全然わかんねーよ。という人もいると思います、すんません。ここに補足記事書いておきますね。
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