書評 考察・意見

結果重視よりもプロセス重視のほうが伸びる。複利で伸びる1つの習慣 レビュー

結果重視か、プロセス重視か。あなたはどちらですか?

結果重視、実はキライなんですよね、私。サラリーマンとしては失格だろうから、会社じゃそんなこと言いませんけど、本音ではキライです。
そんな私ですが、この本を読んで、キライなままで良いんじゃないかと思えました。

  • 期限のある目標に対して有効なのか
  • 最後にナダルの話
  • この本を読む前の迷い

    私が結果重視をキライな理由は、自分でもわかりません。キライなもんはキライなんだ、という子供みたいな理由です。ただ、身近で結果にこだわる人に、尊敬できる人がいなかったというのはあるかも。結果を出す過程で、なにかしら「それで結果出しても意味ないやろ」ってことをしている。悪い人じゃないけど、心から尊敬できるかというと...。

    でも結果を出すのはキライじゃないですよ。結果のためには手段を選ばない、みたいなのがキライなだけ。結果は出すほうがカッコいいよね、やっぱり。オリンピック見ててもそれは思う。
    ってことは、やっぱり私が甘いのかな。結果を出すには、なにかしら不本意なやり方も必要なのかな。なんて思ってたわけです。

    どういう本か

    ところがこの本を読んで、プロセス重視で結果を出す、方法を見つけました。それこそが、習慣。
    この本がいうには、

    『目標値なんて設定しちゃダメだ。毎日1%ずつ向上する、その向上すること自体を目指せば、自然と高みに到達出来る』

    ということなのです。こうなろう、じゃなくて、日々良くなること自体を習慣化すると、目標値を設定するよりずっと良い、という話。『毎日1%ずつ』なんて、よく聞く話でしょ。それでもこの本は、目からウロコなのです。なぜこの本がすごいか。

    ひとつは、目標設定より習慣だ、って言いきっちゃうところ。
    もうひとつは、習慣のパワーを分かりやすく実感させてくれるところなのです。
    (あとひとつすごい点は、良い習慣を身につけるハードルを下げる方法ですが、それは後で)

    習慣てのは良くも悪くもパワフル

    習慣化ってのは恐ろしいよ~。例えば悪い習慣で考えてみましょう。晩御飯食べたあとに、テレビつけて、お菓子食べるとしましょうか。お腹減ってるわけじゃないけど、クチさみしいから。
    1日目は、まあ思いつきでやってみたとしましょう。2日目。テレビつけたら、目の前に夕べの残りのお菓子が盛ってある。それでなんとなく食べちゃう。3日目。テレビつけたら、お菓子食べるのが当然になってる。

    さあ、行きつく先はもうお分かりですね。肥満まっしぐらです。

    良い習慣のパワーって、相当続けないと感じられないけど、悪い習慣なら誰でもリアルに想像できる。うわぁ、習慣ってのは怖いな。じゃ、良い習慣も同じぐらいインパクトあるのでは?

    となるわけです。良い悪いじゃなくて、まず、習慣はパワフルだと実感する。

    良い習慣を身につけるには

    なぜ身につかないか

    習慣はパワフルだとはいえ、良い習慣を身につけるって難しいわけです。悪い習慣は、誘惑に負けるだけで良い。自制心とか必要ない。将来悪い結果になると分かっていても、それはずっと未来のことなので、ブレーキになりにくい。
    そう。習慣って、結果が出るのが遅いわけです。良い習慣によって、良い結果が出るというご褒美もずっと先。だから良い習慣は身につきにくい。

    身につけるにはどうしたらいいか

    この本では、そういう「身につかない理由」をきちんと紐解いたうえで、良い習慣を身につける方法を教えてくれます。たとえば先ほど挙げた、悪い習慣。テレビをつけたらお菓子を食べる。テレビをつけるという、非常に簡単なきっかけに、悪い習慣を条件づけてしまったわけです。これを逆に、「テレビをつけたら、ダンベルを持つ」とかにすれば、途端に良い習慣になるわけです。

    そんな感じで、

    ●やることを明確にする
    ●やることを簡単にする、簡単なきっかけとセットにする(条件反射を使う)
    ●実感しやすい効果に置き換えて考える

    などなどの方法が体系立てて説明されています。設計されている、と言っても良い。この設計に沿って、良い習慣を身につければ、結果が出るのは時間の問題。

    期限のある目標に対して有効なのか

    ここまで読んでくださった方、特に普段目標値を達成してきた方々は、思うでしょうね。「こんなやり方、今年度の売り上げ目標達成には使えない。間に合わないだろ?」と。

    その通りだと思います。結局、短期目標の達成には、有効な方法に見えない。
    ただ、そういう方々に僕は聞きたい。「あなたのやり方なら、できるんですか?」と。目標値の達成を自負する人たちでも実は「目標値まであとどれだけ」という数値を示して、チームメンバーのお尻を叩いているだけなのでは?
    そんなやり方だから、毎年毎年、「目標値に足りない!!」ってお尻たたきを繰り返さねばならないのでは?
    もし、あなたの指導によりメンバーの行動が変わっているのならば、お尻たたきはしなくていいはず。目標値が昨年よりも高いとしても、日々改善しているなら、自然体で昨年よりも高い成果が出るはずだから。 「もっと成果を出すには、あとどこを直せばいいだろうか?」って問いかければいいだけです。

    そうです。結果重視のやり方は、「目標値を達成し続ける」には良くないのです。仕組みが改善されていないのだから、毎年ゼロからのスタートになる。

    もちろん、こんなの理想ですよ。だけど絶対必要な理想です。上の文章は他の誰かに向けて書いているわけじゃなく、私自身に向けて書いています。目標値にとらわれて、プロセスの改善を怠っていないか?

    忘れないようにしたいですね。

    最後にナダルの話

    あとは蛇足になりますが…この本を読んで思い出した話。
    テニスプレーヤーのラファエル・ナダル選手が、圧倒的強者だったころのインタビュー。
    何度目かのグランドスラム達成したときのインタビューで、「これから何を目指しますか?(もうすべて手に入れたのでは?)」というようなことを聞かれたんですよ。
    その時の彼の答えは、「もっといいプレーヤーになりたい」だったのです。

    これですよ。目標値を設定するやり方では、こんな答えは出てこないでしょう。
    常に1%改善し続ける、という考え方だから、こういう答えになるわけです。

    コツコツやり続けるだけでは、通用しない世の中になってきていますが、コツコツ改善し続ける ならば、まだまだ通用するのです。希望が持てるじゃないですか。
    この本読んで頑張りましょう!コツコツ型の皆様。

    photo by ぱくたそ

    -書評, 考察・意見