どうも、学習欲が取り柄の読書屋、せいじ(@twi_sei_ji)です。
この本を読みました。タイトルから敬遠してたんだけど、意外に良かった。
ハックとは本当に悪い意味なのか
ハックという言葉もだいぶ一般的になってきましたけど、まあ「仕組みの盲点を突いてうまくやる」みたいな意味ですよね。「うまくやる」っていうと聞こえはいいけど、場合によっては「ズルをする」に近いこともよくある。だからあんまり好きじゃないんです、ハックって言葉。ハック思考とか言われても、敬遠していたのはそのためです。
でも、「最小限のリソースをつかって最大限の効果を上げる」と解釈すると、どうでしょう。ビジネスマンならいつもやってることですよね。同じ時間、同じ人員、同じ金額を使うなら、より売り上げが上がる策を採用しなきゃいけない。そう考えると、ハックという単語にイヤなイメージばかり持って避けてるのも、良くないなあ。
というわけでこの本を読んでみたわけです。
どういう本なのか
やっぱり、普通の人よりずっと深く考えていらっしゃるんですよ、著者の方。誤解を恐れずに言うならば、「ズルしようと思ったら、マジメにやってる奴の何倍も頭を使わなきゃならない」ってことなんですよね。だって、楽して成果を上げられなかったら、サボってるだけなんだもの。成果を上げるからこそ、楽したことが正当化される。つまり何としてでも成果を上げなきゃならない。その一方、マジメにやってるほうは、マジメにやってさえいれば、少なくとも白い眼では見られない。どっちが背水の陣か。どっちが真剣に考えるか。自然と答えは出ます。
ただ、真剣に考えるだけじゃあ、結果は出ない。真剣に考えて、与えられた仕事をハックするには、やっぱりコツがあるのです。言語化するのは難しいと言いつつも、なんとかコツをわかりやすく伝えてくれようとするのが、この本です。
ハックするコツとは
で、コツって何なのか。この本では、「視点・方法・勇気」の3つに分けて説明してくれます。言い方を変えるなら、盲点に気づくチカラ、盲点を利用するチカラ、盲点を突く勇気、ってところですかね。
どれも大切で欠かせないのですが、私としてはやっぱり、視点の話をしたいです。盲点に気づかなかったら、その先に進みようがないですから。それに、盲点ってのは、気にして見ていれば結構気づくもの、だと思うからです。
逆に言えば、「ハックしようと思って見ない限り、ハックなんてできない」ということになります。そして、その点こそが、この本を読んで得られる、最も大きなものなのです。
ハック初めの一歩はカラーバス効果
カラーバス効果ってのを、ご存じですか。
例えばね、明日家を出てから、会社に着くまで、赤いものを何個目にするか、数えてみてください。
やってみると分かると思うんですが、「あれ?毎日見てるのに、あれって赤色だったんだ」って気づくものがたくさんあるはずです。これがカラーバス効果。つまり、「意識して見るだけで、格段に多くの関連情報が集まる」って効果です。たぶん。
何が言いたいか、おわかりいただけるでしょうか。
そう。ハックなんて、賢い人じゃないとできないものではない。ハックしようと思って見たら、できるようになる。ということです。ここに気づけるのが、この本を読んで最も良いところ。
ハック思考とは一休さんである
あとは、私みたいに「ハックという言葉に対する悪いイメージを取り除いておくこと」ですね。それが残ってると、発想のブレーキになっちゃいますから。
というわけで、ハックそのものに対する印象も改めておきましょう。
ハックって、ズルと言えばズルだけど、とんちみたいなものだと思いませんか?
そして、とんちと言えば、一休さん。
大昔から、ハック思考の達人が居たんですねえ。
『「このはしわたるべからず」って言われて、橋の中央を渡る』とか、
『「この絵のトラを縛り上げろ」って言われて、「じゃトラをここまで追い出して」って言う』とか。
桔梗屋さんや将軍様をハックしているわけです。あの「ポク・ポク・ポク・チーン!!」ってのは、ただ単にひらめきが降りてくるのを待ってたんじゃない。「どこにハックできるポイントがあるだろうか」と考えていたんです。知らんけど。
というわけで、ぜひハック思考を手に入れて、一休さんになりましょう。
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