リスキリングという言葉を、最近よく耳にします。たまたま後藤宗明さんという方のWebセミナーを聞く機会があり、お話がとても良かったので、本を買って読み直してみました。
どういう本か
話題になり始めている言葉、リスキリング。簡単に言えば言葉どおり、「スキルを再びつけ直す」みたいな意味です。しかし、そこが危ない。言葉の意味はすぐ分かっちゃうだけに、「なぜ今」「何を」「どのように」リスキリングしなきゃならないか。それを誤解してる人や会社がめちゃくちゃ多い。という話なんです。個人はともかく、会社がそれってやばいよね...。ところが、まあまあ名の知れた会社でもよくあるんです。
世の中の流れなど背景、人材市場に起きている動きから考えた必要性。それらを踏まえたゴール設定。それらをきちんと理解してこそ、リスキリングになる。ひいては、社員をより収益の上がる仕事に振り向けられる。なのに、「なんでも好きなこと学び放題」みたいなのを社員に提供しても、そりゃなにも起きませんよって話です。意欲の高い社員は「なんでも学び放題」を喜ぶでしょうが、少なくとも、会社の人材戦略としてのリスキリングにはなりません。何でもいいから学べなんて、ただの福利厚生です。人材育成じゃない。
この本は、上述したようなリスキリングの背景・必要性から、具体的なやり方、狙い目のスキルまでカバーしてくれていますが、特に第一章、必要性や背景の話が出色です。ここだけでも読んでほしい。特に企業の人事育成担当者や、40~50代のサラリーマンの方。目が覚めます。
この本で何を得たか
この本を読んで、直接的に何が得られるかは上で書いてしまったので...間接的と言いますか、「世の中の動きと、この本を併せて私が何に気づいたか」を整理してみます。
DXによって仕事の中身がドンドン変わっていく。そして日本の会社の動きは遅い。終身雇用はもはや昔話。仮に会社が雇用を守ろうとしてくれたって、その会社が潰れたらどうしようもない。だとすると、せめて会社が生き残るにはDXの世の中に合わせて変わるしかない。会社が変わるなら、中の社員も変わらざるを得ない。
というわけで、リスキリングする/しない なんて選択肢は実質、ないんです。するしかない。
するしかないなら、あと選択できるのは「方向」と「始める時期」だけです。
あなたの会社は大丈夫か
あなたの会社が非常に先見性に富み、すでに社員のリスキリングに(正しく)取り組んでいるなら、会社の言う通りにしておけば間違いないでしょう。しかしそんな会社は激レアです。なくはないけども。
たとえば、しばらく前のこのニュース。自動車整備工場の半数以上が電気自動車に対応できないとのこと。
https://response.jp/article/2022/12/14/365212.html
誰がどう見たって、ガソリン車は減る一方。なのに、EVに対応できないとか...「会社畳みます」って言うに等しい。でも、できない。わかりますよ、いろんな事情があるでしょう。作業員だけリスキリングしたって、EVを直す設備が無きゃ、EV修理はできない。いきなりそんな投資できるかよ、とか、そもそも設備の発売待ちなんですけど!とかあるでしょう。だけどサラリーマンとしては、所属する会社が潰れたら仕方ないよねじゃ済まない。
ならば、自分で考えて行動するしかないってことです。
何をどうリスキリングしたらいいのか
行動するしかないって言われたって、何をどう学べば良いんだ。そりゃそうです。転職考えてるわけでもないのに、いきなり次の仕事を考えろと言われてもね。
私個人的には、次の分野を選ぶのに、3ヶ月くらいはかけても良いんじゃないかと思っています。この本にも、具体的な探し方が書いてあるので、ぜひ参考にして下さい。社内の他部署プロジェクトを手伝ってみるとか、副業してみるとか、今の世の中、結構お試ししやすくなってます。
でも大事なのは戦略的視点。つまり「これからどういう人材・スキルが求められるのか」です。「デジタルで絵を描くの、やってみたかったんだよね~」なんて、それはリスキリングじゃない。ただの趣味講座。でも「これからこういう分野で、デジタルで絵を書ける人が求められるから、自分も書けるようになろう」なら、りっぱなリスキリングです。
私は、この本でおすすめされてるグリーン・リスキリングにしようと思ったのですが、いまいち熱意が持てず、探し直し中です。
戦略的観点だけじゃ、頑張れないし、かといって興味だけでは新しい仕事につながらない。なかなか難しいです。
最後に
実は私、一昨年初めて、社内公募により自らの手でキャリアチェンジを行いました。それまでは、会社に決められた転勤も、仕事も、前向きに受け入れてて、あまり不満はなかったのですが。ある日突然、目の前にやりたいことが出てきちゃったんですよ。こりゃもう飛び込むしかないな、と思いまして。
まあ、なんとなくでも探していたから、目の前に飛び込んで来た時に気づけた、のではある。
そんなわけで、リスキリングするつもりでなんとな~く探していれば、ある日グッと来るものにあたるもんじゃないかと思っています。あるいは逆に、片っ端から試してみるのもありですね。飛び込んでから見えるものもあるでしょうし。
自分でやってみて今さら気づいたんですが、キャリアは自分で作るものなんですね。別に偉くなるという意味じゃなく、「やりたいことを見つけてやり続ける」という意味でのキャリア。
この本、おすすめです。