クリスマスもサンタクロースも別に好きじゃなかった。
まあモテないからというひがみはあるとして(笑)、『どいつもこいつも商業主義に踊らされやがって』みたいに思ってた部分が少し、いやかなりあった。
そんな時に偶然、素晴らしい文章を読んだ。
d long life design(451ブックス)という小さな雑誌。2006年5月号の「サンタクロースとは何か?」という記事。グリーンランド国際サンタクロース協会に正式に認定されたサンタクロースが、サンタ活動を通して、「サンタクロースじゃないとできないことがある」と思い至るインタビュー。とにかく素晴らしい。手に入りにくいけど、ぜひ取り寄せて読んでほしい。誰彼構わず薦めたいレベル。
すごくレアな雑誌なのに、この文章に偶然出会えたのは、ほんと幸運だったと思う。
これを読むと、
●サンタクロースはいるかいないか。
●サンタクロース、何歳まで信じてた?
●クリスマスなんてしょせん日本じゃ…
こんな議論をしていた自分が、恥ずかしくなる。
サンタクロースってのは、そんなちっさいもんじゃない、ってことがよく分かる。
口にするのも恥ずかしいほどありふれた表現だけど、サンタクロースは皆の心の中にいればいい。いや、キザなことを言いたいんじゃない。
家族を大切にする気持ち。
知らない人にでも、今日くらいはちょっと優しくなる気持ち。
もっと言えば、みな各々が誰かのサンタクロースになってあげようとする気持ち。
サンタクロースがいるって信じるだけで、こんな素晴らしい仕組みが出来上がってる。それを否定する必要がどこにある?
『本当にいるのかいないのかって次元の問題じゃない』ってことが、分かって頂けるんじゃないだろうか。少なくとも僕は、このナガオカさんの文章を読むまでは、分かってなかった。だから毎年この話をするんだ。少しでもこの解釈を広めたくて。
商業主義にまみれたサンタクロース像に惑わされて、本物を否定するなんてもったいない。
誰もがサンタクロースになれる。
ちょっと前のニュースで言えば、誰でもタイガーマスクになってランドセルを贈れたように。
そういうことだろ?サンタクロースを信じるってのは。
いると信じれば、いるんだよ。
そして誰がなってもいいんだよ。
昔、父がサンタクロースのふりをしてプレゼントをくれたのは、子どもをだましてたってことじゃないんだ。サンタクロースとは『あなたのことを想う誰かが、あなたのために何かをする』、そういう仕組みのことなんだ。
だから、サンタクロースを信じる信じないなんて、下らない水かけ論はやめて、クリスマスくらいは誰かのサンタクロースになろう。
-----
<おまけ>
d -long life design-を取り寄せるのが面倒な方は、こちらをどうぞ。
星新一のショートショートにも、同じ考え方の作品があって、これもとても良いです。
下記に収録の「ある夜の物語」という作品。なんとも言えず暖かい気持ちになります。