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仕事の問題解決に役立つ手順書。わかりやすく実践できる。「会社の問題の9割は4つの武器で解決できる」レビュー

仕事で問題、ありますか。
あるに決まってますよね。
思うように売れない、利益が少ない、納期に間に合わない、品質が悪くてクレームが来る などなど。

そんな問題、自分には関係ない。給料さえもらえればいい。という方にはちょっと向かないかもしれませんが、「いっちょやってやるか」と思う人には、なかなかいい本を読みました。

どういう本か

ひとことで言えば、問題解決手法の本。もうすこし詳しく言うと、「会社・事業運営で起こる問題を4カテゴリに分け、カテゴリごとの処方箋を示す」という本です。
ひとつひとつのカテゴリについて、具体的なステップとツール、考え方が解説されています。したがって、この本の手順に沿ってやれば、会社で起こる問題の多くは、解決できる。まぐれあたりや勘と経験じゃなくて、解決すべくして解決できる。何度でも。ということです。
逆に言えば、正しい手法で問題解決に取り組みさえすれば、解決できる確率はあがるのに、みんな自己流でやってるから、なかなか解決できないんです。ということ。

他と何が違うか

私、世の中にある問題解決本をすべて読んだわけではありません。むしろ、10冊読んだかどうかぐらいなので、ほんの一部しか読んでいないと言えます。でも、これお勧めです。この本良いな、と思った理由はずばり「本当に真似できるから」です。真似できると思える根拠はいくつかあって、

  1. 手法やツールではなく、問題から話が始まっている
  2. 残りの1割を捨てている
  3. 問題の種類と、それにあったツール、それを使うタイミングがわかる
  4. マニュアルとして残しておける

というところです。では順に解説します。

問題から話が始まる

SWOT分析とか、「なぜ?」を5回繰り返すとか、3Pとか3Cとか、分析手法はたくさんありますよね。だいたいどういうものかも、本や研修などで習った。けれど、いまいち使えていない。というか、思い出した時に使うぐらい。
その使う時だって、他の手法じゃなくてこの手法を使う理由は?とか聞かれたら、なんとなくとしか言いようがない。
「なんとなくこれが合いそうじゃないですか?」という感じですね。

本書では、手法はあくまでツール。まず問題から話が始まり、それに適した手法へと展開されます。
例えば、業務ミスや不良品の撲滅に取り組むなら、100%を目指さなきゃいけない。
業績向上に取り組むなら、もっとも効果的なポイント2割に絞って8割の成果を出す。みたいな話。

言われてみればたしかに、両方同じアプローチじゃダメだろうし、分析手法も違って当然。
問題から話が始まるからこそ、納得するし手法の選択もわかりやすい。

残りの1割を捨てている

最初、この本のタイトルを観た時は、「9割とか言っちゃって、売れることを狙ったタイトルだな」と思いました。でもこの著者の前著がとても良かったので、まあ読んでみようと手に取ったわけです。

そしたら、分かりました。9割というのは、著者の誠実さだったのです。つまり、「この本では残りの1割は解決できませんよ」ということなのですね。もちろん、そんなことは長々と書いてありませんよ。出来るようになるために本を買ってるのに、できない情報なんて書いてあってもしょうがないですからね。

ただこの1割を捨てることで、本の中で導かれる手法にググっとリアリティが増すのです。

万能な方法を示そうとすれば、それは手法自体を解説したふわーっとした本になってしまいがち。読み終わったけど使いこなせない。そこを本書の場合、「こういう問題に対しては、この段階で、このツールを使って、こうすればいいです」というのがすごく具体的に書いてあるんですね。1割を捨て、さらに残りの9割を4パターンに分けているからこそ、「ああ、これに沿ってやればいいじゃん」と思えるほど具体的な手順になっているのです。これが本書の真髄だと思います。

問題の種類にあわせ、使うべき手法とタイミングが分かる

本書では問題を大きく4タイプに分けて、それぞれの解決手法を段階的に追っていきます。このおかげで、自分でもやれそうな気がしてくるのです。
なぜなぜ分析をやる前に、どこどこ分析をやれ とか、
課題を洗い出す前に解決策に着手するな とか
あるいは逆に、検証結果を観る前に、Go/Stopの判断基準を決めておけ とか具体的に解説してあるので、真似をすることができます。

さらに、手法の使い方で間違いやすい例なども併記してあります。
なぜなぜ分析を、何が何でも5回やることは良いことなのか。
KPIを5個も6個も設定するのは、良いことなのか。
このあたり、丁寧に言及してありますので、とんちんかんな取り組みになるリスクは低い。

マニュアルとして残しておける

本書は問題解決の手法・手順を細かく具体的に示してある本です。ということは、要約してエッセンスだけ覚えておくような本ではありません。問題解決に取り組むたびに見返して、手順を真似していくための本です。したがって、手元におくのがおすすめです。

実は私、本書を最初に見かけたのが図書館でした。そこで借りてきて読み進めるうちに、「あ、こりゃ手元において見返してこそ役立つ本だ」と思ったので、買って自分の本棚に入れたというわけです。
会社で問題にあたるたびに、やりかたから調べなおすのは大変ですよね。でもこの本を見返せばOK、ということ。

以上が他の本と大きく違うところだと感じました。一言で言えば「使いやすい本」という感じ。読みやすい本ならば、世の中にたくさんあるけどね。

あとめちゃ大事なこと

さて、問題解決においてあと、めちゃめちゃ大事なことがひとつあります。
「知ってる情報と、パッと思いつく仮説だけで組み立てない」ということです。これほとんどの人がやりがちなので、ホント大事。
売上が伸び悩むと、必ずコンテストで競わせようとする部長。
「やれることは全部やれ」と号令をかける課長。
経験と勘だけで利益を決める営業。
なんでも営業のせいにする技術部門。
いるでしょ??というか、そういう人のほうが多いですよね。

この「あるあるエセ解決」を避けるためには、

  • この点が問題だ と確定するにはどういうデータが必要か
  • 他にはないか? 自分の考えが及んでいない範囲はないか

この2点を意識することがとても重要になります。真の原因を見逃したまま、解決手法だけ真似してやっても、そりゃ解決しませんから。この視点を獲得するには、別途メタ思考などの本を読んだほうがいいですが、ともあれ、本書の手法を併用することで、本当の問題解決ができるようになります。

この本、おすすめ。イチロー氏は、「いまの打席でなぜヒットを打てたか、説明できる」と言いましたが、我々も、打つべくして、ヒットを打ちましょう。たまたま打った手で問題解決できても、次が続きませんから。

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