どうも、学習欲が取り柄の読書屋、せいじ(@twi_sei_ji)です。
いやもう、こんな本なんて紹介したらいいのかわからない。
目で読む本じゃないんですよ。魂で読む本。
(文庫やKindle版もあります)
本当にこんな人がいたのか。っていうくらいかっこいい。
こんな悪役、ドラマの中にしかおらへんやろ。っていうくらい、GHQと民政局がひどい。本当にいた人なのに。
戦争に負けて占領されるってこういうことなんだな、と初めて分かった。
そのひどい占領に対して、敢然と立ち向かう白洲次郎。
ただまっすぐなだけじゃない。
泥臭いネゴシエーションや根回しもがっつりやる。それは狡猾さじゃなくて、自分の信念を貫き通すため。しかも、日本をアメリカのいいようにされてしまうことから守るため。理想を語ってるお坊ちゃんじゃなくて、すさまじく仕事ができるやつが、本気で日本のために働くわけですよ。こんな話、面白くないわけがない。
憲法がね、アメリカの素人によってさらさらっと作られたって、知ってましたか。
私はこの本で初めて知りました。びっくりですよ。憲法なんて絶対的な国のポリシーじゃないですか。敗戦によってアメリカに押し付けられたものだ、ってことはなんとなく聞いて知っていましたが、まさかね、素人によって2週間くらいで作られたものだとは。
素人とはいっても、さすがにそこらを歩いてる人じゃなく、GHQの中で、ある程度法律の素養がある人たちではあったみたいですけどね。でも、憲法に関しては素人。秘書とかもいたらしいですよ。秘書て!!そりゃあの時代に日本に来てるくらいだから優秀には違いないんだけど、それにしたって役人の秘書が!日本の憲法の一部を作ったって・・・・どんだけ舐めてんのよって話でしょ。これは衝撃でしたね。そりゃ白洲次郎じゃなくったって、舐めんのもたいがいにしろ!って言いたくなりますよね。
ところが時は敗戦直後。たぶん日本全体が最も心を折られていた時期。原爆によって強大な力の差を見せつけられていた人々は、抵抗はしてもちゃんと渡り合うなんてできない。
つか、そもそも憲法の草案をGHQが作ったってのが極秘だったから、市井の人々は関係ないんだけど。GHQと対峙していた日本政府の面々ですら、がっぷりよつに組むことはできない。こんなの飲めるか、っていうだけ。
そこを一人のスーパースターが奔走するわけです。誰あろう、白洲次郎その人。
GHQ内部の確執を見抜き、対抗勢力に掛け合い、情報収集し、それはもう様々な手を使って、日本の自立へ向けて誇りを保とうとするわけです。何十年も前の話なのに、つい引き込まれて応援したくなります。
いや、すっごい人がいたもんだ。もともと能力の高い人が、高い理想を掲げるとここまでできるものか。俺たちも、目の前の生活のためじゃなく、日本のためくらいの理想を掲げて働いたら、見える景色は違うんじゃないだろうか。
そう、思えます。読み終わった後、うずうずします。俺も何か成し遂げねばって。
胸が熱くなる、ってこと、最近ありますか?
あんまりない人、おすすめです。この本、胸に来ますよ。