京都のお寺、龍安寺が好きなんです。石庭が有名なあのお寺。岩が13個あるはずなのに、どの角度から見ても12個しか見えないという石庭。13個目を見るには心の目で。ということらしい。
人として心の目を鍛えるには心の修業を積む必要がありますが、「ビジネスで、問題解決に」と範囲を絞れば、今すぐにでも鍛えることができます。自分に見えてないものを意識できるようになる、という技術を。
どんな本か
基本的には、問題解決手法の本です。でもこの本、中味は易しくても説明が難しい。
昨年のセンター試験のニュース、覚えていますか。
マスクを拒否した受験生がいて、失格になった。
翌日、受験生の属性などが判明した。
「後で情報が出てきて、最初にニュース聞いたときの印象とガラリと変わる」こと、よくありますよね。最初のニュースに飛びついてテキトーなことを知ったかぶりで言うの、めっちゃかっこ悪いなあと思っています。でも普通はそうなるし、仕方ない。
でもでも、初見で知ったかぶりするオッサンにはなりたくない。どうしたらいいんだろう。
私がたどり着いた答えは「自分が何を知らないか、一瞬でも意識すること」です。
そして、そう意識できるようになるためのトレーニングを示してあるのが、この本です。
メタ思考とは何か
本のタイトルにある「メタ思考」とは何か。言葉で言えば、いち段階上の思考 となりますが、そんなん言われたってわからない。もう少しマシな言いかたをすれば、「自分が知らないことまで視野に入れて考える」ということになります。
料理で例えてみましょう。
<普通の思考>
料理を作るとき、冷蔵庫を覗いて「今ある材料で作る」のが、この思考にあたります。おなかはいくらか満たされるかもしれないけど、食べたいものが出来上がるとは限らない。
<メタ思考>
料理を作るとき、どういう料理を作りたいのかを決め、その材料を調べる。そして、足りない材料をお店に買いに行って、料理を完成させる。食べたかった料理が出来上がる。
ざっくり言えば、そんな感じです。
何のために考えるのか?まずゴールを意識して、ゴールに必要な大枠を理解し、その大枠と自分のもってる情報のギャップを見つめたうえで、考える。それがメタ思考。
メタ思考ができると何が良いか
メタ思考という名前自体はどうでもいいんですが、これが出来るようになるとやっぱり、会社でも全然違います。
会社でこんなことよくありませんか?
- 売り上げが伸びないので、売上コンテストをやってチームごとに競わせる
- とにかくみんなの前で表彰する
- 根拠なく値下げする。値下げ幅の根拠もなし。
- 新しいチラシやパンフレットをつくる
効果がゼロとは言わないけれど、もっとも効果が出るやり方とは思えない。なんだその馬鹿のひとつ覚えみたいな対策は。なんていつも思っていました。言っても伝わらないし。
伝わらないのは、仕方ないです。手持ちの材料で考えることに慣れ切った人に、「知らないことまで含めて考える」という話をしても、そもそも理解できない。パソコンを見たことない人にパソコンを説明するみたいなものです。
この本を読んでまわりの人を変えるのは無理ですが、せめて自分は変わりましょう。自分が変わるだけでも、仕事は楽しくなります。他の人に見えてないものが見えるようになりますから。
あとは、マスコミに踊らされなくなるし、なにより知ったかぶりおじさんになるのを回避できます。
この本を読んで、日々のメタ思考トレーニングを積んでいきましょうよ。
写真提供:京都のフリー写真素材