あなたの会社は、世の中にとって、要る?要らないでしょ。
って言われたら、どうしますか。反論できますか。
最近、誰もがパーパス、パーパスって言います。ただの流行り言葉だと思っているので、パーパスについて勉強するつもりは全くありませんでした。でも、たまたまこの本を読んだら、分かったんです。なぜみんなパーパスって言うのか。こりゃ流行り言葉で終わらせるのはもったいない。
あなたの会社、要る?
モノがあふれ、ありとあらゆる顕在ニーズが満たされている時代。もはや企業は、みんなが気づかなかったニーズや課題を探すのに一生懸命。言い換えれば、まだ世の中にないものを掘り起こす「イノベーション」でしか、独自性を出せない。
独自性がないってことは、他でも良いってことですね。ってことは、なくなっても困らない会社ってことです。極端に言えば。
加えて、この転職社会、副業社会。人材の流動性が高まってる。「よそでもうちでもいい」会社には、いつまでも人が居る理由がない。人が逃げていく。給料がめちゃ高ければいいけど、よそでもうちでもいい会社が給料高いわけがない。独自性ないんだから。
じゃどうしたらいいんだ?
そこでパーパスなわけです。従業員を雇い、利益を出して、法人税を納めるだけでは足りない。自社はなんのためにいるのか、考えないと存続できない時が来ている。「夜と霧」のヴィクトールフランクルは、「人生に意味があるかないか、じゃなくて、人生のほうから、あなたが居る意味を問われているのだ」てなことを言いましたが、会社にとっても、とうとうそーゆう時代になった。てことです。なかなか大変。
存在意義を考えろと言われても…
なるほど、それで最近、パーパス、パーパス言うわけか。よく分かった。でも自社の存在意義なんて、いきなり簡単には定められないでしょ。いままで利益向上で頑張ってきたんだから。
本書では、そういう人に向けて、たくさんの事例と、分かりやすいツールが用意されています。しかも、会社のタイプやライフサイクル(会社設立してどれくらい経ったかなど)別で、処方箋を示してくれているので、ツールを使いやすい。さらに、ツールに落とし込んであるということは、再現性が高い、自分たちでもやれるってことです。社長じゃなくて、社員が、です。ここめちゃめちゃ大事。
そう。パーパスってすごく高尚なものだと思っちゃうけど、みんなでワイワイいいながら定めるカジュアルなものなのです。それこそが昔の社訓や昔の理念(=理念1.0)との違い。トップダウンじゃなくて、働いている人たちがじっくり振り返って「ぼくらは何のために居るのか?」を抽出するプロセスが最も大事なのです。これがまた腑に落ちたんですよね~。しばらく前に「ムーンショット経営」てのがあったでしょ。あれと何が違うのかな~とか思ってましたが、これでわかった。ムーンショットは、経営者が夢のあることを掲げて、その夢の魅力で求心力を産み出そうという取り組みだったわですが、パーパスは、自分達の中にある答を言語化するもの。与えられるものではないのです。大きな違い。
パーパスで結束を産み出すということは、逆に言えば、パーパスに合わない人が離れていき、合う人が寄ってくるということ。自社にぴったり合ったパーパスを掲げれば、時間がたつにつれさらに、パーパスに沿った会社になる、というわけです。うまくできてますね。
既にわかりやすい事例を僕らは知っている
最初のほうにも書きましたが、「利益目標じゃなくてパーパス」になってきたのは、かなり社会的背景が影響してる。お金より信頼、なんて言われ始めて久しいですが、お金だけじゃない尺度が、重視されてるってことですね。きれいごとじゃなくて、その方が楽しいとか、エンゲージメントが高まるとか、サスティナブルだとか、メリットが大きいわけです。
そう。社員にとっても、取引先にとっても、お客様にとっても、世の中にあって欲しい会社になる。それこそが、企業として究極のサスティナブル。ここで思い出すのが、株式会社ほぼ日です。ほぼ日の経営を書いた本を読んだとき、僕はたしか、そう感じた。世の中にあって欲しい会社になることがサスティナブルだと。
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理想的な会社は、どんな考え方のもとにできたのか。すいません経営。
会社って、なんのためにあるのだろう。 フリーランス全盛期、自分で仕事を見つけることもできる。ギャラが安くてよければ、あんまりスキルがなくてもやれる仕事はあるし、少しだけトレーニングすれば多少稼げるよう ...
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そう思い出して記事を読み返したら、驚いた。すっかり忘れてましたけど、やはり当時も、ほぼ日の経営と佐宗さんの本を重ねて見ていたのです。
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お勧め!すいません経営と一緒にデザイン思考の本を読む。本が何倍にも面白くなるマッシュアップ読書。
本の化学反応って、聞いたことありますか。 いま、僕にそれが起こっています。ほんと偶然なんですけど、たまたま並行して読んでいる2冊の内容が、やたらと噛み合うのです。この2冊↓。 【本1】ほぼ日の経営に ...
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というわけで、パーパスって何、という問題意識でこの本を読むのも王道ですが、私としては、「すいません、ほぼ日の経営」を読んだ人にこそ、本書を読んで欲しい。きっと、とても参考になります。
パーパスなんてただの横文字です。それ自体を追いかけるなんてどうなん?と思いますけど、「こんな会社になりたいなあ」を追いかけるのは、悪くないですよね。おすすめ。
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