書評 考察・意見

グッドデザインを受賞したイカの足から、マーケット感覚を学ぶ。「マーケット感覚を身につけよう」レビュー

2023年10月17日

先日、グッドデザイン賞を見て驚きました。げそ天が受賞してたんです。げそ天がグッドデザイン??どゆこと?

(グッドデザイン賞Webサイトから引用しています)

げそ天の受賞理由

選んだ人の講評を読んでたら、なんとなくわかった。どうやら、「間口を広げた」ということのようです。パッケージのデザインを、広くウケるかわいいものにすることで、カップ酒飲んでるようなおっさんの食べ物から、みんなのおやつになったということですね。
またそれにより、地元のスーパーを活性化させた。なかなかあなどれませんね、げそ天。

これはなかなかすごいけど、真似できそうにないぞ。そう思ってた時に、こんな本を読みました。そしたらちょっと、僕にも真似できそうな気がしてきた。

マーケット感覚とは何か

マーケット感覚とは、売る人の立場でありながら、買う人側の目線を持つ。商品をモノとしてとらえるんじゃなくて、商品の価値に目を向けて、それが買う人にとっていくらぐらい払う価値があるか、を見抜くチカラ。ということになります。

これは、何にでも値札が付いているお店に慣れた我々じゃあ、すぐわからないかもしれません。

そこで、反対語を出してみます。マーケット感覚の逆は「原価積み上げ感覚」あるいは「作る側の感覚」ですね。材料がいくらで、作るための人件費がいくらで、お店の設備大がいくらで。だからいくらで売らないと困る、とかそういうやつ。
言い換えれば、かかった原価(経費)の2倍3倍で売るようなのは、ぼったくりとか言っちゃう感覚です。ネットによくいますよね、原価厨。
原価に少し載せるだけが適切な価格、と思っているうちは、マーケット感覚にはたどり着けない。
原価で売ったって要らないものは要らないし、原価の3倍だって欲しい人がいるなら売れる、からです。

マーケット感覚を持つと何がいいのか

マーケット感覚を持つと何がいいのか。

商売が上手く行く、と言ってしまえばそれまでですが、何をやっても生きていける。あるいは、廃れかけた工場を建て直したり、過疎化した地方を救えたりするわけです。
なんか、これからの私たちに欲しい能力である気がしますね。特に、海外から見て「日本は安いぞ!」って言われている今、痛切に感じます。サービス残業をして、老後のたくわえに不安を持ちながら、うす~い利益でモノを売ってることが本当に良いことなのか。そろそろ考え方を変えなきゃいけないんじゃないのか。

そんな危機感にぴったりくる武器だと思うわけです。マーケット感覚。

この本で何が得られるか

マーケット感覚が必要なのは分かったとして、昨日まで知らかなった感覚が、今日から急に備わるものでもありません。
かといって、一部の商才がある人しか手に入れられない、というものでもないのです。ここに、この本を読む意味がある。商売がうまい人って、才能だと思っていたのですが、どうやらその嗅覚を鍛えて手に入れる方法がある。希望が持てますね。

具体的な方法は本書に書いてあります。箇条書きにするとこんな感じ。箇条書きのすぐ下は、私の勝手な補足です。

プライシング(値付け)能力を身に付ける

いくらだったら誰に買ってもらえるのか、をかぎ取る能力

インセンティブシステムを理解する

何を、どんな価値をもとめて行動が起こされているのか、の力学をつかむ能力

市場に評価される方法を学ぶ

コネや看板じゃなく、商品そのもので選ばれるにはどうしたらいいか

失敗と成功の関係を理解する

失敗か成功か、ではなく、失敗はすごろくのひとコマにすぎない。と理解し、成功へのプロセスに正しく取り入れる。

市場性の高い環境に身を置く

ふたつうえと近いですが、いつもそういう場で戦って慣れること。ブランドやコネに頼らない。

いかがでしょう。もしかしたら、上記の箇条書きを読んだだけでは、ピンと来ないかもしれません。私は来ませんでした。でも、このブログをまとめるにあたって、自分の言葉で補足を書いてみたら、急にしっくりきた。
みなさんも、この紹介記事だけではなく、本書をじっくり読んで、できればアウトプットすることをお勧めします。

だって、げそ天をグッドデザインにできるんですよ?すごくないですか、マーケット感覚。
自分のものにしたくなってきたでしょ。

本書はマーケット感覚を得る、入り口のヒントにしかなりません。実際は、上記に挙げた視点を持って様々なものを見ていくことが大切。
でも、多くの人が入り口すら見えてない感覚なのです。そのヒントだけでも手にして、自分で鍛えたいですね。

この本、軽く読めるけど、ずっと本棚に残り続けるような気がしています。おすすめ。

-書評, 考察・意見