突然ですが、小学校理科の問題です。
植物のタネが、芽を出すのに必要なものは何でしょう?
覚えていますか?答えは「水・空気・温度」です。私は「水・空気・日光」と答えてしまいましたが・・・
理科の問題なら「忘れてたね~あはは」で済むのですが、これが私の仕事だったら。
いや、農業をやるという意味ではなくて、仕事する時に「芽が出る条件」ちゃんと整えてるんだっけ?ということです。
この本を読んで、それを痛切に感じました。
どういう本か
ひとことで言えば、ワークマンの躍進を様々な角度から分析した本です。外部要因からの分析ではなく、役員、社員、店長などへのインタビュー・調査に基づいた内部分析。
- もともと、どういう強みがあったか
- 内部でどのようなアクションや工夫があったか
- それらが外部環境や時流と相まってどのように伸びたか
というような話です。
ワークマンの躍進は、インフルエンサーに見いだされて一気に花開いたのが理由、みたいに思っていましたが、違いました。それは一面に過ぎない。
この本では、もとからあった文化や強み、施したアイデアや工夫、改善話を聞きながら、ワークマン全体としての強みが見えてくる。そこに本書を読む意味がある。あちこちで見る、Webのインタビュー記事などでは、断片的で全体像は見えてこないですからね。
ワークマンは何がすごいのか
で、何が見えてくるのか。出し惜しみしてても仕方ないので、私の理解を書きますと、
もとから持っていた強み
職人という盤石な顧客基盤、しっかりした業務マニュアル、安くて良いものを作るチカラ、フランチャイズを大切にする文化
アクション・工夫
在庫の厳密な管理、発注自動化、新規顧客層に気づいたこと、それに伴う新業態の創出、徹底したA/BテストによるPDCA
外部環境・時流
SNSの普及、インフルエンサーの登場、それによるバイクやキャンプへの広がり
ということなんですね。
そう。アイデアマンの専務がポッと来てガガっと改革した、というイメージは間違ってはないものの、アイデアが芽を出すだけの環境を整えることからしっかりやってあった。ということなのです。その上で、愚直にPDCAを回したということなんですね。
僕らは真似できるのか
翻って、僕ら自身はどうでしょうか。なんか、仕事ですごいアイデアを思いついて、それを実行したら業績がめちゃ伸びる、みたいな夢を持っていませんか。
それ、違うんです。アイデアだけでは、芽は出ません。小学校理科の例で言えば、タネだけじゃ芽は出ないのです。
なのに僕らは、タネを作ることばかりに気を取られていないか。
この本を読んで、それを痛切に感じました。
水と空気と温度がそろえば、あとはPDCAを愚直に回せばいい。「PDCAを愚直に回す」ということだけでも、なかなかやりきれないけど、高い能力が求められるわけじゃない。近道を求めず、地道に粘り強くやるだけのことです。
ちょっと、意識していきたいと思います。
結局、ワークマンの成功って、すごい秘密があったわけじゃないんですよ。言われてみたらそうだよね、ということを、着実にやっただけ。
この基本を再認識するためだけでも、じゅうぶん読む価値があります。おすすめ。